プロマシアミッション8-3「天使たちの抗い」その8
「闇」に抗えない人間の手によって封印が解かれるのだった.
「声」に惹かれて「ル・メトの園」最奥の扉へ殺到する仲間たちを止めたのは,姿を消していたテンゼンだった.「闇」の声に答えるのは心の中の「闇」,故に人は「闇」から逃れられない,そうセルテウスは言う.ならば冒険者たちの取るべき道は一つ.その声に抗うべく,その声の元を絶つべく,扉の奥を目指さなければならない.
不穏な気配を感じ扉の奥へと急ぐ一行.
そこには先んじたセルテウスと,
ナグモラーダの姿があった.
そして,ナグモラーダの視線の先には・・・
鎖やそれに類するものでがんじがらめにされた「闇」のカタマリ.
それは「器」.男神降臨の依り代となる,「闇」に満たされるべき器.そしておそらく,クリュー人たちの「完全なる闇」が注がれた器.
南「どうした,おまえたち」「あれほど『世界の終わりに来る者』を倒すと息巻いていながら,そんなところでなにをしている?」
「闇」の呼び声に耐えられないテンゼン殿はここで戦線を離脱する.
プ「へへへっ・・・.ここまで来れただけ,上出来だぜ」
かつて「世界の終わりに来る者」だったプリッシュは器の意味を知っており,故に珍しく怖気づく.
プ「俺はおまえと逆で,正直言ってあいつに近寄りたくねぇからな」
だが,行かなければならない.
「器」が世界に解き放たれれば,人の抱える「闇」がその器を満たし,男神の復活は成ってしまう.
それは世界と人の終わり.
今まさにヴァナ・ディールへ落ちようとしている神都アル・タユにあって,ここが正念場なのだった.
だが,ナグモラーダが甘言を弄し,冒険者の決意を挫けさせようとする.
平和に暮らしていた冒険者に,仲間のフリをした人間たちが何をしたのかと.
「世界を救え」「人を救え」「そのために死んで見せろ」
それを望まない冒険者に,誰もが役目を押し付けようとしたのではないかと.
ナグモラーダは冒険者に問う.
冒険者はただ,誰も知らない真実を知りたかっただけなのではないのか?と.
・・・.
もちろん冒険者の答えは「否」だ.
ナグモラーダは気付いていない.真実を知りたいというそれは,彼の望みなのだと.「闇」の声に唆され,彼の中の「闇」が求めた,欲望という名の黒き願いなのだと.
南「この不完全な世界.人と人との伝達もままならない世界で,人が頼るべき唯一完全なるものは,『真実』.それだけなんだよ」
だから彼は望む.内なる「闇」に従い,その「声」に答える.
南「男神プロマシアよ! 私に,すべての『真実』を教えてくれ!」
そう叫んだ彼は「ル・メトの園」で手に入れたあの「印」によって・・・
セっちゃん「やめろ!!! イブノイル様の封印が・・・!!!」
彼は自らの手で,自らが敬愛したあのお方の,明星の巫女の命を賭した封印を,
己の欲望の下に解いてしまう.
これが,世界と人間に絶望した者の辿り着いた姿だった.
そしてその瞬間から「器」は胎動をはじめ,
まるで蛹から羽化する蝶のように,
それは姿を顕わにする.
それは人のようにして
人ではなく,
背中の羽が
黄昏色に染まる,これこそが男神の姿.
「器」を前に
人はその内なる「闇」に保たれた姿を
徐々に失い,
やがて「闇」そのものとなる.
そして「闇」は
「闇」へと
還る.
声に従い王宮へ消えたジラート人たち.
おそらくこれが,彼らの辿った末路なのだった.
闇に吸収されつつあるナグモラーダは最期に知る.
南(こんな真実がッ・・・! こんな真実があるのかッ・・・!?)
それは彼が求めた真実であり,
南(・・・人は・・・)
南(・・・人は・・・)
南(・・・人はアアアアァァァ・・・ッ!)
人が知るべきではない真実でもあった.
セっちゃん「言うなッ! ナグモラーダッ!!!」
そして,
ナグモラーダを吸収した「器」は,自らを満たすべき「闇」の在り処を知る.
???「そこ に いた の か」
それがヴァナ・ディール.
???「我か ら 分かた れた 子供た ちよ」
そこに暮らす人間たち.
???「むか えに いこ う」
彼らに宿る 5 つの「闇」.
???「我が から だに 還 ・・・ レ」
「器」に注がれた「闇」,すなわち男神の「意思」が最後に見たものは・・・
臨界に至り赤く輝く「母なるクリスタル」.
「器」は知る.
「闇」を「器」に注ぐためには何をするべきなのかを.
ソレは強大な力を持って
頭上に光を呼び起こす.
あれは「時空点転移」?
そう思った瞬間,
「器」の姿は虚空に消える.
その行先に気がついたセルテウスもまた転移し,
一方でプリッシュは「器」の言葉,いや,男神の「意思」に衝撃を受ける.
プ「今・・・,あいつ,なんて言ったんだ? 」「あいつ,いったい,なんて!?」
プ「・・・子供たち・・・ 男神の,子供たち・・・? ・・・それは,まさか・・・?」
人の知るべきではない真実を悟ったプリッシュは茫然自失となり,
だが,次の瞬間奮い立つ.
プ「『復活』と『死』・・・」「・・・そんなことはさせねぇッ・・・!!!」
そしてプリッシュは駆け出す.いつものように.振り返ることなく前を見て.
彼女はまだ諦めていない.
そして,冒険者はどうすれば良いのか分からない(笑)