Vana'daily

Vana'diel 一人旅の日々.ばなでいり.

アトルガンミッション46「戴冠の儀」その2

感動的なタイトル回収なのだった。

 

ここまで心動かされたのは久しぶりかも。本番で1回、日記で振り返って3回泣いた(苦笑)

覇権国家アトルガンの聖皇は、まだ若く線の細い少女に見えた。

初めて彼女に拝謁するアルタナ四国代表たちは、随分と失礼な感想を胸に抱くが、

そんな様子に気づく事も無く、あるいは気づかない振りをして、

諸国の特使が戴冠式に列席してくれたことに素直な礼を述べた。

(盛大な式を期待していたナジャ社長は、ビジネスチャンスを逃したことに肩を落としていたが)

聖皇「此度の件では、我が国の挑発行為により 大いに不安を覚えられたことと存じます」「また、墜とされた飛空艇に乗船されていた方々に対し、わらわは心よりご冥福をお祈りしたく・・・」

式を前に、ナシュメラはまず今回の事件の犠牲者へお悔やみを述べるが、

あまりにも大きすぎた犠牲を思い出して、思わず言葉を失う。

そんな少女の姿に、ウォルフガングは堪らず声をかける。

ウォルフ「・・・お顔を上げてください」「あの攻撃で、・・・負傷致しましたが」「ナジ殿の応急手当てが功を奏しまして、幸いにも全員一命を取り留めました」

(あーーーー! ナジは負傷者救出に向かったんだった、忘れてた、ごめん 笑)

思わぬ助け船と吉報にナシュメラは安堵する。

聖皇「そうなのですか!」「では、ぜひ我が国の 錬金術師をそちらに派遣させてください。再生治療に秀でた者が多数おります故・・・」

もし中の国側に死者が出ていれば、取り返しのつかない状況に陥るかも知れない。最も恐れていたその事態は、意外にも相互の協力的な雰囲気のなかで払しょくされようとしていた。

だが、場の雰囲気を読まないバストゥーク代表フォルカーがここで爆弾を投げる。

フォ「・・・さて、ナシュメラ様。今後、我々四国との関係をどうされるおつもりか御存念をお聞かせ願いたい」

その質問が出る事をナシュメラは当然予期していた。聖皇が用意したこの場は、戴冠式と言う名を借りたアルタナ四国との和平交渉の場でもあるのだ。

聖皇「都合のよい提案であるとは 存じますが・・・まずは、元の関係に修復させていただくのが最善と考えております」

多数の蛮族の脅威にさらされながら東方諸国とも膠着状態である皇国には、アルタナ四国と矛を交える余力はもはやまったくと言って無かった。ナシュメラ本人がそう言うように、それは皇国にとってあまりに都合の良い提案に聞こえた。

ヴァー「関係を深めると それらの争いに我々を巻き込んでしまう・・・ そう、懸念されておられるのですな」

だが、サンドリア宰相ハルヴァーはその真意を看破する。

聖皇「ええ、そのとおりです」

元の関係すなわち相互不可侵は、相手に迷惑をかけないと言う皇国の誠意を示すものであり、・・・中の国の助力を求めないと言う決意でもあった。老いた皇国が数多の憂いをどのように対処するべきか。アトルガンの今後を思い、ナシュメラは思わず目を伏せる。

???「あいや、悲観してはなりませぬぞ!」

宮中にその声が轟くや否や、煙幕の向こうから

月照が姿を現す。

ゲッ「何卒、遅参の非礼を お許しくださりませ、なしめら様」

あの一戦以来姿を見なかった月照は、「なしめら様の親書」を「我が帝」に届ける勅命を受けていたらしい。

それは東方諸国に休戦を求める親書だったのだろうか。

聖皇「それで・・・帝はなんと? 拝謁できたのか?」

逸る気持ちを抑えきれないナシュメラだったが、月照の返答には思わず落胆の色を隠せない。

ゲッ「大君はかく申されました・・・『ことここに至りて和議は至難である』と」

聖皇「・・・やはり、そうですか・・・」

ゲッ「されど、斯様にも申されました。『諸侯を説いてみよう』と・・・」

聖皇「!!」

それは僅かな兆し。兄が、思い人が願った平和への、微かな希望。

ゲッ「及ばずながら月照。両国和議の為、この身を捧げる所存。これからも存分にお使いくだされ」

アトルガンの暴挙を止めるために東方より遣わされた間者は、生かされた我が身の処すべきところ、本来の為すべき事を見いだしていた。

もし東方との和議が成れば、アルタナ四国との友好条約すら視野にはいるかも知れない。そう考えるナシュメラに、ウォルフガングは問わずに居られない。

ウォルフ「貴国にはもう 1 つ大きな障害を抱えたままではございませんか?」

冷や水を浴びせる発言ではあったが、アトルガンに生まれた新たな憂いは、アルタア四国にとっての新たな脅威。皇国との友好を語る前に、なんとしても解決せねばならない話なのだった。

聖皇「・・・機関人形のことですね。壊れてはおりますが、確かに今も ナイズル島に放置したままです・・・」

この話を避けられるはずがない。だが・・・、聖皇の言葉は不自然なほど曖昧だった。

フォルカー「となると、その兵器を貴国が修理し、再び我が国の脅威として用いぬ保証はどこにもない」

徹底的に破壊するしかない。そう提言するフォルカーに言葉を濁す聖皇。その姿に何かを感じ取ったウィンダス特命全権大使カラババは、聖皇の背中を押す。

悪魔「その人形の残骸・・・ ただの墓標ではありませんわね?」

聖皇「機関巨人の中心部に・・・『時空の歪み』が検出されたのです」

悪魔「・・・おそらく、その機関巨人 アストラルゲートと化していますわね」

悪魔「冥界の門が開いたと部下から聞きましたわ」「おそらくは、それと同様のもの。わたくしたちの住むこの世界と 神獣の住まうアストラル界を繋ぐ穴ですわ」

それは吉兆なのか凶兆なのか。下手をすれば、皇国に新たな脅威をもたらす事態になり兼ねなかった。

だが、聖皇は静かに決心した。

聖皇「・・・みなさま。どうか、しばらくの間、巨人の骸の破壊を 待っていただけませんでしょうか?」

フォルカー「冗談ではない。そのような危険なシロモノがあるのなら 猶更、残すなどと・・・」

聖皇の言葉の意味を、いや、その真の願いをカラババは理解していた。

悪魔「よござんす! 我がウィンダスは巨人の現状保管を 承認いたしますわ!」

(悪魔はたまに優しさを見せるから悪魔なのだった。バストゥークをけん制する意味もあるだろうけど)

同様にハルヴァーが賛成に回ったこともあり、巨人の件は暗黙的に了承された。

相互不可侵。

巨人のことで疑念を持たれる行為だけは、これ以上は慎まなければならないと聖皇は理解する。アルタナ四国が望む形で決着を付けねばならないだろう。

危うい橋を渡りながらも、アルタナ四国との不可侵条約を取り付けた。将来的な見通しにも灯火が見えつつあり、ようやく、ナシュメラの再戴冠式が執り行われる運びとなった。

そして冠を授ける栄誉に浴するのは・・・

ナシュメラ「わらわの腹心よ。 お願いできますか?」

 

・・・いいですとも!

と言うか、

冒険者に、すべて・・・まかせるがよい!

聖皇「ありがとう・・・」

冒険者の快諾に胸を撫でおろすナシュメラは、短い一言ながら十分な感謝を伝える。

だが、肝心の王冠が見当たらない。

ガッ「申し訳ございません。純度の高いシンチレーターが必要になり すべて溶かしてしまいました」

畏れ多くも王冠を私物と化した宮廷錬金術師は、だが、悪びれる素振りも無く言葉を継ぐ。

ガッ「こちらの歯車に どうしても必要だったのです。お許しください」

メネジン「・・・やれやれ 病みあがりだというのに・・・ 乱暴がすぎるぞ・・・」

アヴゼン「・・・ファアアア ヨクねタゾ!」「なしゅめらヨ、ひさシブリダナ!」

あまりの事に言葉を失うナシュメラ。

だが、次の瞬間、そこにはいつものアフマウと双人形が居るのだった。

マウ「待って・・・! 今わらわはアヴゼンとメネジンを操ってないのに どうして・・・!?」

アヴゼン「きニスルナ!」

マウ「気になるわよ!!」

旧式オートマトンだった双人形は自ら喋ることはできなかったが、記憶装置だけは超一級品が仕込まれていた。

修復にあたり彼らは晴れて自立人形となり、こうして無手の傀儡師の力を借りる事無く自ら語り出したのだった。

メネジン「・・・お前は戴冠式を進めねばならないだろう?」「手のかかる・・・」

胸を逸らせ居丈高に振舞うメネジン。その姿はまるで・・・。

マウ「・・・兄さま?」

ガッ「ははは・・・。元の所有者ラズファード様の記憶も 残っているようですな」

思わぬサプライズで中断した戴冠式も、しばらくして落ち着きを取り戻す。

聖皇「わらわの王冠は アヴゼンとメネジンに生まれ変わりました」「代わりに そなたの心を王冠として授けてくれますか」

(あれ? え? これって・・・)

アフマウとのいくつかの冒険を思い出しながら、

(ちょwwwww)

いつまでも「アフマウの傭兵」として力にならんと、

(ちょいいいいいいいい、大事な場面でフルヘルムってどうなのよ!www)

その決意を胸に、アフマウに心を預ける。

(なにこれ? と言うかやり直しさせてぇぇえええええええ)

少女「ありがとう・・・」

戴冠の儀は滞りなく(滞りなく?????)終わり、アルタナ四国代表の無言の承認をもって、

アトルガン皇国 マジャーブ朝第 16 代聖皇 ナシュメラ 2 世は、晴れて諸国に迎え入れられるのだった。

聖皇「ありがとう、みなさん!」

聖皇としての最初の職務として、ナシュメラはラグナロク阻止の功労者ナジャ・サラヒム・ゾワンに、

アトルガン白金貨1,000枚を賜る。

聖皇「ナジャ、あなたがいたからこそ 皇都は護られたのです」

ナジャ「陛下・・・」

聖皇「そなたの真の望み 故国ゾワの自治獲得についても すでに大臣に指示してあります」「今度は、そなたが 得た資金を使ってゾワの窮乏を 救ってあげてください」

ナジャ「はは~っ! 必ずや・・・」

聖皇「最後に・・・」「ラグナロクを防げたのも 中の諸国との戦争を回避できたのも・・・」「すべて冒険者 あなたの尽力の賜物です」

そして第一の功労者である冒険者に、聖皇は「マジャーブ家に伝わる家宝」を賜る。

バルラーンリング。

ウルタラムリング。

ジャルザーンリング。

3種のリングのうち、魔法職向けの「バルラーンリング」を下賜頂いた。

アヴゼン「ホホウ♪ ずいぶんト ヨイしゅみヲしているナ・・・!」

最後に彼女は聖皇として、いや、一時を共にした仲間として、冒険者に思いを告げる。

マウ「もう、あなたと共に旅する機会もないことでしょう・・・」

マウ「あなたが、この国に 来てくれて本当によかった・・・」「これからも アトルガンを護り、支えてください」

そして、いつの日か・・・

続く言葉を彼女は飲み込む。

幾つもの冒険、出会い、別れを経て、アフマウは聖皇として生きる道を自ら選んでいた。無邪気だった少女はもう居ない。自らの足で大地を踏みしめるものの気高さが宝玉のようにただ眩しく、冒険者の瞼の裏にいつまでも残り続ける。このアフマウは忘れないだろう。

このようにして、

アトルガン皇国によってもたらされた

新たなる世界の危機は未然に防がれた。

いくつかの懸念は残るものの、

幾人もの戦友と新たなる知己と共に、

今はただ、訪れた平和をかみしめる。

ナシュメラの前途は多難だろう。

だが、丞相に言われるまでもなく、冒険者の心は決まっていた。

メネジン「これからもナシュメラを 陰で支えてやってくれ」

ラズファード「あいつは この混迷の世に未来を灯す このアトルガンの宝なのだ・・・」