Vana'daily

Vana'diel 一人旅の日々.ばなでいり.

アルタナミッション6「梢の胡蝶」その2/7「紫電、劈く」

これは酷い!と叫ぶのだった。

 

ラジュリーズ男爵を追いラヴォール村に辿り着くと、そこは守備隊も村人も誰もが臨戦態勢だった。ドラギーユ城での報告によれば獣人の包囲網は徐々に狭まっており、防衛線の維持に限界を迎えつつあるのだろう。

そこに辿り着いた増援。

互いに軽口を叩き合う隊長たちだったが、

茜隼騎士隊長の「・・・だが、助かったぜ」の言葉が重い。

いったい守備隊はどれほどの苦労を耐え忍んだのだろうか。そう慮ったラジュリーズ男爵は胸をドンと叩くと、

ラジュ「任せときな! オレらが来たからいは、一気にカタを付けてやる」

と息巻く。サンドリアにほど近いラヴォール村は絶対防衛線の一つであり、獣人による占拠は何としても避けなければならなかった。

ラジュ「オークどもめ。最近、やけに、この村に固執してやがる。修道院以外なんにもねえ、寒村なのになあ」

ラジュリースの疑問は尤もと言えた。

バタリア丘陵を制したオーク軍が徐々に戦線を押し上げているとしても、ジャグナー森林を挟んだ飛び地とも言えるこの村を執拗に攻める理由が見当たらない。山の谷間に縋りつくように作られたラヴォール村は、防衛拠点としては優秀である一方軍事拠点としては攻め手に欠け、大軍を置こうにも狭い土地がそれを許さず、サンドリアを目指すオーク軍にとって価値は低いように思えた。

唯一つ、魔晶石を産することを除けば。

鼻息荒いラジュリーズたちに、見張りの一人が大声で呼びかける。

見張り「・・・た、隊長っ!」「あ、あれを!」

その指さす先には炎。

しかも、それは一カ所ではない。

見張りの声を合図にあちこちから火の手が上がり、守備隊はパニックに陥りかける。

ラジュ「・・・落ち着け! 豚どもの作戦だ。家は捨ておけ。残っている村人の避難を優先させろ!」

それは獣人による陽動だった。

ラジュリースによる的確な指示にも関わらず、防衛隊に生じた僅かな隙が獣人たちの侵攻を許してしまう。

ラジュ「おいおい。なんてこった。親衛隊様のおでましだぜ」

しかも、それはただの獣人では無い。

隊員「あ、あれが! オーク帝国もクゥダフ兵団も 切り従えたという・・・」

北の地ザルカバードを根城とする闇の王親衛隊。

ラジュリースの予想をはるかに超え、血盟軍はラヴォール村を本気で手に入れようとしていた。

そして、燃え盛る家々の、今まさに戦場とならんとしているその地に、

あのネコの姿があった。

リリゼット「やっぱり! あの黒白ネコめ・・・」

リリゼットの言葉は当然ネコには届かない。

燃え盛る炎をただ悠然と見下ろしていたそのネコは、何ら動くこともなく、何ら語ることもなく、またも光の球に包まれてその場から消えていた。

場慣れしたラジュリーズは切り替えが早かった。

獣人による陽動を看破しその侵攻をいち早く察知した彼は、誰からも見えるように大きく盾を掲げ、村に居る守備隊全員に聞こえる声で仲間を鼓舞した。

ラジュ「うろたえるな。連中だって、血も流せば、死にもする。恐れることは何もねえ」

ラジュ「ちと、不細工だがな!」

余裕を見せる男爵の言葉に全員が平静を取り戻す。

ラジュ「よ~し、来るぞ・・・! 鉄蝶小隊は、女子供を安全な場所へ!」

それを合図に誰もが剣を抜き構えていた。

こちらの動揺を誘い、その隙を突いてこちらの守備を突き崩す。

言われてみれば造作もないこの作戦。正面から突き崩せないからこそ敵は小細工を弄したのだ。ならば攻め入る敵を正面から迎え撃てば良い。

それはすなわち、力と力による真っ向勝負だった。

 

親衛隊を相手に戦闘は激化し、

鉄蝶小隊の隊長が行方不明となっていた。

女子供を安全な場所へ送るはずの小隊長に代わり、

茜隼騎士隊の従騎士オドラールが代理を志願する。

オドラール「人手が足りません。西に行った先に、壕の入り口があります。舞踏団のみなさんも、村人の誘導を!」

ポーシャ「ラジュリースさま・・・!」

心配げに声をかけるポーシャにラジュリースは笑顔を向ける。

ラジュ「心配ない・・・言ったろ? オレは、男だらけの色気のねえ場所じゃ 絶対死なねえって決めてるのさ」

ポーシャ「もう・・・!」

ラジュ「冒険者! リリゼット! ・・・ポーシャ! 頼んだぞ!」

ラジュリースのその言葉をきっかけにして冒険者たちは西へと走る。

残されるその背を

しばらく見つめ、

ポーシャ「・・・どうか、ご武運を・・・」

ポーシャもまた駆け出していた。

 

戦いは更に凄惨さを増していた。

一人が獣人の刃に倒れ、その獣人もまた別の刃に身を割かれる。

冒険者たちが戦闘を逃れて

修道院を背にしたその頃、

ようやく剣戟の音が静まりつつあった。

ラジュリースは健在。

茜隼騎士隊長が合流してひとしきり言葉を交わし合うと、

周囲を見渡した茜隼騎士隊長が何とはなしに疑問を口にする。

隼隊長「・・・ん? そういえば、あの 可愛い子ちゃんたちはどうした?」

団長「今、村人を避難場所へ誘導しておりますわ」

ラジュ「お前んとこの オドラールってヤツが 連れてったんだ、が・・・」

怪訝な顔をする茜隼騎士団長にラジュリースはそう言い淀むと、

隼隊長「オドラール? うちの隊に そんなヤツはいねえぞ・・・?」

その言葉を聞いて駆け出していた。

ラジュ「!? ・・・くそッ!」

この戦い自体がそもそもの陽動であった事に、ラジュリースはようやく気付いたのだった。

 

イベント終了。

イベントの内容を思い返して見るに、ラジュリースたち一隊が最初に辿り着いた場所は南東の広場のように思えた。

避難民の誘導を志願したオドラールは「西に行った先に、壕の入り口」があると言い、川を辿って修道院脇を移動していたのだから、おそらくナイトのジョブ取得クエストと同じルート、南東の広場から川を伝って中央の修道院へ出、そこから西に川を下っていったのではないか、と推察された。もっとも、その先が分からないのだけれど。

彼は「壕」とも言っていたから「修道窟」へ向かうルートも考慮に入れるべきだったが、まずはオドラールの足跡を辿る事にした。

Lv70踊。

入り口付近にはアクティブなテントウムシがウロウロしているので、スペクトラルジグを使って移動する事にした。

で、南東の広場。

うはwww オークだらけwwwwww

と思ったのだけれど、よくよく名前を見ると「剣」のアイコンが付いている。つまり、ここがカンパニエバトルの獣人拠点らしい。

カンパニエバトルに遭遇した最初の頃は良く判らずに周辺をウロウロしたのだけれど、あの時の経験から言うと、アライドタグを発行しなければカンパニエバトルの敵から攻撃されることは無い。はず。

なので「絡まれないから大丈夫」なんてお気楽に探索を再開したのだけれど、

え? インプ!?

と思った瞬間に攻撃を喰らった。

「みやぶる」持ちのインプはこちらのスペクトラルジグを看破できる。しかも、名前の横に「剣」アイコンがないから「普通」の敵だ。

カンパニエバトルの敵に交じって普通の敵が居るなんて・・・ヒドイ!

しかも「みやぶる」持ちの敵を・・・ヒドイ!!

と思う間もなく「普通」のオークたちがこちらに気づいて集合、

体制を立て直す暇もなく殴り殺された・・・。

・・・ヒドイ!!

街から戻ってきたついでに修道院を眺めてみた。

「元の世界」では見る影もない修道院の威厳に少し感動した。ただ、周囲には高レベルのオークがウロウロしていて近づく事は諦めた。

スペクトラルジグがあれば大丈夫かも知れないけれど、

高レベルのNMは「みやぶる」持ちなんだよね・・・。

と言う事で、再び南東の広場で逡巡する。

カンパニエバトルの敵と普通の敵が入り乱れていてムッチャ気を使う。

周囲の敵をチェックしながら目を盗みつつ先へ進む。

うーん懐かしいこの感じ。このスリル。

ようやく広場を突破して、

周囲が「とて」だらけなので「少し適正レベルから低いのかも?」と経験値を稼ぎながら

川へ出た。

うーん懐かしい。

修道院周辺に居るオークに感知されたりするんだよね・・・と、前世のナイト取得旅行(笑)で死人が出た事を思い出す。

そんな感傷に浸りながら、

川を下って陸地に上がると、

扉が開かない。

マジか・・・。

仕方がないので入り口に戻って、

今度は北側ルートを攻める事にした。

南側にも修道窟の入り口がある(はずなのだ)けれど、また南東の広場に行きたくないので(笑)こちらを先にした。

が、近場にある(魔晶石クエで通過するバリア付きの)入り口は塞がれていて、

なし崩し的に

北西の広場を遠目で眺めたり(笑)、

更に先に進んだりした。

ちなみに、ルートの途中にあちこちある行き止まりには NMオーク が配置されていて、これらは予想通り「みやぶる」持ちだったんだけれど、念のために確かめてみたら一度殺された(白目)

ヒドイ!!

そんなこんなでそろそろ「このルートもハズレなのでは・・・」と思い始めた頃、

この辺りで南の広場の入り口に

チェックポイントを発見!!

でもハズレ!!! 

敵に見つかったら即死なのでムッチャ緊張したのに・・・ヒドイ!!!!

で、戻り際にあった扉を調べたら

イベント。

ようやくリリゼットたちに追いついたのだった。

 

(つづく)