Vana'daily

Vana'diel 一人旅の日々.ばなでいり.

アルタナミッション5「玉冠の獣、ふたたび」/6「梢の胡蝶」

そんな気がしてた・・・と思うのだった。

 

なぜこんな場所にケットCが?

夢か現(うつつ)かを確かめるために東ロンフォ〔S〕へ向かうと、

あの姿はどう見てもネコ、いや、ケットC。

慌ててその背を追うと「また会えたわね」などと言いつつ呑気な口調で、

C「イロハって女の子には あれから会えてないみたいね?」

と妙な事を言われた。

確かにその通りなのだけれど何故それを? と疑問を呈する冒険者に、ネコは

C「フフーン。見くびってもらっちゃ困るわ、アタクシには、何でもお見通しですのよ」

と言うや否や、少年騎士団での一件やら暗殺を巡るゴタゴタやらを捲し立て、

C「ぜんぶ、ぜーんぶ! お見通しなのよン!」

とドヤ顔をしていた。なんかムカつく(笑)

その様子を窺う胡蝶が一羽。

周囲の状況にまったく気が付くことなく、ネコが突然

C「・・・ところで、覚えていて?」「アタクシ、アータにお願いをしましたわよね?」

と言いだし、冒険者は一瞬ギクリとする。

C「そう、世界の嘆きの涙を、すこしでも減らすこと・・・」

そう、そうなのだ。それなのに、

C「アータときたら、ダンスなんか観て、浮かれてる始末・・・」

・・・胸が痛い。

いやでも結果は良い方に転んだとは言え、観客も舞台も男だらけのショーを覚悟であの場に挑んだ冒険者の事は少し褒めて欲しい(白目)

C「ホント・・・ 困ったちゃんねぇ?」

そう言いながら独り言ちるネコ。

C(・・・あぁぁ、もっと 仕掛けておくべきだったかしらン? でも、そんなにたくさん・・・んー・・・)

少し思案した風のネコは改めて冒険者へ向き直ると、なにやら小言めいたことを言い始めた。

C「いいこと? アータが持ってるのは、『時を舞う力』なのよ? アータには何だってできるのよ?」「アータの匙加減ひとつで・・・」

そこまで言ってようやくネコは事態に気づく。

だが時すでに遅し。

四方から躍りかかった踊り子が、

踊子「つかまえた~っ!」

あっさりとネコを掴まえていた。

弱すぎね?(笑) ここは「時を舞う力」で時を止めたり戻したりするんじゃないの?

C「んなっ!? なンなの? なンですの!?」

あっけない勝利に湧く踊り子たちはジタバタするネコには目もくれず、

踊子「掴まえたぞ! おい、リリゼット!!」

踊子「あれえ・・・こいつだれぇ? ねえ、なんか変なヤツも捕まえちゃったぁ」

と周囲に声をかけていた。

その様子を梢の上から眺めていた少女は、心の底から楽しんでいるかのように笑っていた。

リリゼット「あはははっ!」「かまわないわ! どうせ、そいつも黒白ネコの 手下に決まってるんだから!」

音もたてずに舞い降りたリリゼットは、ネコの顔を覗き込むようにしてしばし眺めると、

リリゼット「やっぱり、見間違いじゃなかったわね」「さーあ ついに捕まえたわよ。おとなしくしなさい、黒白ネコ!」

と引導を渡していた。

そんなリリゼットの言葉を聞いてか聞かずか、ネコは変わらずジタバタしながら

C「青臭い小娘のくせに アタクシの耳を持とうだなんて 10年はやくってよッ!!」

と悪態をついていた。

だが、多勢に無勢、オオカミにネコ。威勢だけは良いけれども何もできずに居るケットCへリリゼットは「ざまあ見なさい」と言わんばかりに、

リリゼット「はんっ! 乳臭い 子ネコのくせに、わたしに命令しようなんて 100年早いわっ!」

と言い返していた。

どちらも子供の喧嘩にしか見えない低レベルな言い合いが続いたけれども、

C「キーーーーーッ!」

ネコの堪忍袋の緒が先に切れ、

鋭い爪がリリゼットを、

踊り子たちを襲っていた。

喧嘩も低レベル過ぎるんですけど(笑) そこは「時を舞う力」で何とかするんじゃないの?

踊り子たちの仕打ちは腹に据えかねたらしく、半眼で睨みを利かせた風のネコは「プリプリ」と言う効果音が似合う雰囲気で、

C「・・・まったく とンだ邪魔が入ったわ!」

とひときわ高い声を上げると、冒険者に向かって捨て台詞を吐いていた。

C「いーこと? アタクシの言ったこと ユメユメ忘れるんじゃありませんわよ!」

そして淡い光の球に包まれたかと思うと、

リリゼット「・・・あ、まちなさいっ!」

踊り子の言葉なぞ当然聞くことなく何処かへと飛び去っていった。

踊子「ねぇ、リリちゃーん。あんなネコ、もう放っとこうよ?」

商売道具の顔を傷つけられて踊り子たちのやる気は見る見る減退した様子だったが、ただ一人、リリゼットだけは諦め切れない様子で答えていた。

リリゼット「はんっ、冗談! あれは未来・・・そう、ネコに化けて 未来からきた侵略者なんだから!」

侵略者・・・???

冒険者すら疑問に思うその言葉に、当然の事ながら踊り子たちは冷たい。

踊子「つか、それ、あんたの妄想じゃん?」

踊子「だよねえ・・・ 未来から来た獣人だなんてさぁ・・・」

未来から来た・・・獣人・・・!?

その言葉には心当たりがある。でも、どうして彼女が・・・?

リリゼット「本当なんだって! 捕まえたら証明してみせるわ! これは、世界の危機なのよ!?」

そう弁明する彼女の横顔をマジマジと眺めていたら、唐突にこちらを向いたリリゼットに、

リリゼット「・・・なに見てんのよ。耳の長いヒュームが、そんなに珍しい?」

と見当違いな事を言われた。しかもムッチャ怒ってる。

怯える(笑)冒険者の様子を見てふと我に返ったリリゼットは、

リリゼット「・・・て、いうか あんた、だれ?」

と身も蓋もない事を言われた。

・・・あの、今宵、胡蝶が羽根を休めるはずの・・・花にございます・・・(テレ

リリゼット「ずいぶんと 仲よさそうだったけど、ひょっとして あの黒白ネコ『ケット・シー』の仲間?」

少し頬を上気させる冒険者に、気づく素振りも見せないリリゼット。・・・哀しい。

彼女の質問に何と答えようかと逡巡するも、「仲間」は言い過ぎな気がして「知り合い」とだけ答えた。

リリゼット「ふん。同じようなもんじゃない」

どちらを答えても同じ反応を示したに違いない。ネコを逃がした代わりに面白いモノを手に入れた、と、湧き出る嗜虐心を隠さない表情がそう語っていた。

リリゼット「いろいろ 聞きたいことがあるんだけど ちょっと顔かしてもらうわよ?」

・・・え・・・もしかしてドS系のアレですか・・・?

背筋に冷たいモノの走る感触に慄きながら周囲を恐る恐る見渡すと、

踊子「あんた、逆らわない方が身のためだよ」

踊子「月影の胡蝶なんてのは 見た目だけの話でぇ・・・」「その実態は 月影のオオカミ! なんせ、鼻っ柱の強さでも舞踏団一だからね」

・・・オオカミ!?

その後、ひとしきり彼女の武勇伝を聞かされた。

リリゼット「顔は関係ないわ。わたしは、バカで弱い男が 嫌いなだけよ」

・・・まずい、これは「だから私は華憐でたおやかな女の子が好きなのよ」的展開なのでは!?

リリゼット「・・・って なに、わたしに言わせるの!」

ハッと我に返ったリリゼットは場の空気を取り繕うべく一気に捲し立てた。

リリゼット「・・・もう、いい。こいつの始末はわたしがつけるわ。みんな、解散よ!」

・・・え? 待って心の準備が。

二人きりになって目のやり場に困る冒険者に、リリゼットはネコについてアレコレと聞いてきた。

リリゼット「あの黒白ネコと、どういう関係?」「へぇー・・・」「・・・やっぱり わたしの睨んだとおり。あの黒白ネコが黒幕ね・・・」

冒険者の期待、もとい懸念をよそに、リリゼットはネコの事が気がかりのようだった。

ネコの存在を当たり前のように受け止める彼女はいったい何を知っているのだろう。

そんな事を考えながらクルクルと変わるリリゼットの表情をマジマジと見つめていたら、

リリゼット「え? なに? わたしのリアクションが変?」「ん、べつに・・・。だって、わたし・・・」

と何かを言いかけて、

リリゼット「あれは!?」

と突然遠くを見やった。

その先には騎士隊の面々、

そして踊り子ポーシャが居た。

彼女に気づいたリリゼットはポーシャの許へ急ぎ駆け寄ると、

リリゼット「ポーシャ! なにしてるのっ?」

と明らかに動揺していた。

ポーシャ「ラヴォール村を 助けに行くのよ。鉄鷹騎士隊の 皆さんといっしょにね」

事も無げに言うポーシャと対照的に、リリゼットは居ても立っても居られない風でポーシャに詰め寄る。

リリゼット「ダメだって、ダボ・・・ ううん、ラヴォール村は危険よ!」

そして傍から聞けば明らかにおかしなことを口にしていた。

リリゼット「わたしの知らない事態に なっているんですもの。いまの時期に オーク軍が侵攻してるなんて、絶対おかしいのよ」

ポーシャ「ふふふ。リリゼットったら。また、おかしなこと言って」

それが自分を心配しての剣幕だと理解するポーシャは、まるで可愛い妹をあやすように笑顔を向ける。

だが、リリゼットは引き下がらない。

リリゼット「ちがうの! わたしにはわかるのよ・・・」

だが・・・リリゼットはポーシャを説得する術をこれ以上持たない。

ポーシャ「なんといっても 今はラジュリースさまもいっしょだし、ね」

悲しげに顔をそむけるリリゼットにポーシャはそう言って宥める。

ポーシャ「だいじょうぶよ。敵をやっつけたら、すぐ戻ってくるんだから。そしたら、またいっしょにお買い物に行こ、ね?」

心配するべきなのは自分なのに、彼女に心配をかけさせてしまっている。

遣る瀬無い状況にリリゼットはただ「ポーシャ・・・」と言葉を濁らせることしかできず、

男爵と鞍を共にして戦地へ向かうポーシャに、ただ黙って手を振るしかない。

ただ一人残されたリリゼットはポーシャの姿が見えなくなるまで手を振り続けると、

リリゼット「ねえ、あんた・・・」

と、それまでとは打って変わった暗い声で冒険者に問いかけた。

リリゼット「ずばり、聞くけど。未来から来たんでしょ?」

黒白ネコ。未来から来た獣人。ダボイと言う名。

彼女は明らかに未来の何かを知っている。ともすれば「時を舞う力」の何かを。

「アータには何だってできる」と言うその力の存在は、当然、この世界を変える力を持っており・・・相当に危険なモノと言えた。だからオイソレとは使えないし、自由気ままに使うことも躊躇われた。ネコが言うほど力の行使は単純ではない。

だが、獣人にその力を持つモノが居ると知れた今、仲間は多く居るに越したことは無いのではないか。ならば彼女にその事を打ち明け・・・

リリゼット「・・・あ、やっぱ 答えなくていいわ」

アレコレ考えているうちにリリゼットにはそうあっけなく言われた。えぇぇぇえええ。

リリゼット「でも、きっと、気づいてるわね?」「ラヴォール村が・・・ダボイと呼ばれるようになること」「そして、それは『今』じゃないってことを・・・」

冒険者が悩むうちに、何かを考え、何かに迷い、何かを決めたらしいリリゼット。

リリゼット「ところで、あんた、名前は?」

そう問いかけた彼女に名を告げると、あのショーで見た時のような眩しい笑顔を冒険者に見せた。

そして次は真剣な表情を向けると、

リリゼット「事態は飲み込めてるわね?」「なら、手伝って」

と、こちらの返事を聞く気も無くそう捲し立てていた。

リリゼット「ポーシャたちが 心配だわ。わたしたちも村に急ぐのよ!」

有無を言わさないその勢いに気圧されながら、なぜか「仕方がないな・・・」と思ってしまう。そのクルクルと変わる表情と態度に、同じ踊り子ながらも魅せられてしまったのかも知れない。

たとえオオカミと言えど彼女の魅力は本物なのだと心の隅で感じていた。

いったんイベントが終わったので、

南サンド〔S〕に戻ってみた。

・・・けれど「星唄」ミッションのイベントが発生しない。

うーん、ここに来て初めてのメッセージに拠れば「アルタナ」と「星唄」のミッションが被っていたように思えたのだけれど・・・。

「まいっか・・・」といつものように適当にスルーしながら(笑)ラヴォール村へ向かう。

間を置かずにやってきたお陰か、鉄鷹騎士隊の一行はまだ入り口で待機しているところだった。

ポーシャ「・・・あら、リリゼット? どうしてここに?」

特に驚いた様子を見せないポーシャを見て冒険者は思う。リリゼットは普段から突飛な行動をしているのかも知れない。

だがそんなポーシャの態度とは対照的に、リリゼットは必至に説得を試みていた。

リリゼット「ここ、危険なんです」「ここで、なにかよくないことが起きるんです!」

リリゼットのその漠然とした訴えに、

団長「あのねえ、みんな 危険は承知でここに来てるのよ!」

と団長は取り合わない。

リリゼット「ううん! そういう意味じゃないの!」

リリゼット「そうだわ! この人も、先がわかるのよ」

どうにももどかしいリリゼットは思わず冒険者に目配せしながらそう言ってしまう。

団長「おや、まあ。お仲間を見つけたのね」「で、その彼女には どうしてこれから起こる出来事がわかるわけ?」

だがそれは悪手でしかなく、リリゼットは言葉に窮することになる。

リリゼット「うぅ、そ、それは・・・み、未来から来たから・・・」

団長「・・・ぷっ」「おほほほほほ!!」

ポーシャ「や~だ。リリゼットったら、もう。こんなときに冗談なんて・・・」

二人の反応は当然だった。

これまで何度もそのやり取りを繰り返したのだろう。もはや何も言うことができずリリゼットが唇を噛んでいると・・・

ラジュ「おい、お前たち ここで何してる!? 敵はすぐそこなんだぞ!」

隊を呼びにきたらしいラジュリーズ男爵が冒険者たちに気づいて声をかけてきた。

そして「ん、お前さんは・・・?」と一瞬考え込むと、

ラジュ「まあ、いい。今は1人でも人手が要る。お前たちも、いっしょに来い!」

ととんでもない事を言い出していた。

願ったり叶ったりのリリゼットは「は、はい!」と即答する。

冒険者にとっては乗りかかった船だった。

リリゼットは「わたしの知らない事態に なっている」と言っていた。

本来の出来事が起こってしまえば、それはこの村が「ダボイ」になる事に通じる。ならば、未知の未来を「時を舞う力」で切り拓けばラヴォール村を救えるかも知れない。そして「世界の嘆きの涙」を減らすことも・・・。

流されるままココへやってきた冒険者だったが、ようやくリリゼットと目的を一つにできそうな気がしていた。

 

(つづく)