アトルガンミッション39「連合の混迷」
聖皇と天蛇将の恋愛事情、などとバカな妄言を言っている場合では無いのだった。
でも、ストーリを楽しむ派としては、妄想は大事だと思うのです(白目)。
ズルズルと五蛇将の話に進みそうだったので、召喚状を片手にジュノへ向かう事にした。
延長を繰り返していた四国軍事会議だったが、今回も喧々諤々な議論が交わされているようだった。冒険者は、この埒を明けるために呼ばれたのだろう。
主戦派のバストゥーク・ウィンダスに対して、聖皇ナシュメラと皇国の内情を知るサンドリアの穏健派、トリオン王子は開戦に慎重らしい。
トリ「今も、皇国内には聖皇を慕いその意見に従う者が少なくないはず・・・ 私は、その可能性にかけてみたい」
ジュノを代表するウォルフガングも珍しく慎重派のようだ(そう言えば、彼は今どう言う立場なんだろう)。
ウォル「しかし、これは大きな戦になりますね。ここは、もう少し外交的努力を重ねてからでも・・・」
だが、だからこそ先手必勝だと主戦派は考えていた。
フォル「先手を打たねば我々は水晶大戦に匹敵する犠牲者を強いられることになろう」
しかも、ウィンダス代表のシャントット博士は「そんなものでは すまなくなるかもしれませんことよ」と、バストゥーク代表のフォルカーを援護する。
ウォル「どういうことです?」
シャ「みなさま、『ゴルディオス』はご存じですわね」
博士が言う「ゴルディオス」は、皇国のワラーラ寺院あるモノではなく、アルタナ四国の暦、天晶暦の紀元となった超新星のことを指していた。
シャ「今からさかのぼること、900 年ほど前・・・」「1 年もの間、地上から夜を奪いさった超新星のことですのよ」
トリ「教皇から習ったことがある。天晶元年に女神さまが起こされた奇跡だな?」
だが博士は、星図にある「北天に輝く一等星」はたまたま超新星の軌道上にあった星に過ぎず、超新星の正体は別にあると語り出す。
その根拠は、ウィンダス目の院の古文書に記されていたようだ。
シャ「白き神と黒き神が争うと、天空には巨大な穴が穿たれ地上には大いなる嵐が吹き降ろされた」「それがラグナロクである、と・・・」
フォ「超新星は神々の戦いの光だった、とでも?」
その意見が「あたらずとも遠からず」と言う博士は、「わたくしの推論ですけども・・・」と前置きしつつ話し出す。
古アトルガンは白き神を宿した巨人を空高く打ち上げて世界を支配しようとした。対立していた黒き神を信奉する国は、生贄により得た冥路の騎士を空へと放った。
シャ「天空での死闘の末、ばらばらになった巨人と、傷ついた騎士は共に墜ち、ようやく戦いは終わった」
シャ「けれど、後に残されたのは焦土と化した大地。そして世界に天変地異をもたらすことになる天空の大穴だった・・・」
ウォ「・・・なんということだ・・・」
もちろん、これは博士の推測にしか過ぎない。
フォ「・・・馬鹿げた妄想を」「それに、その現象がゴルディオスの名と何の関係がある?」
そう問うフォルカーだったが、博士にとっては想定質問の範囲でしかない。先人たちは貿易商を通じてその名を耳にしたのだろうと、いかにも尤もらしいことを言う。
シャ「その発端となった巨人の卵の名を・・・」
(悪魔の言うことだから本当なのだろう。そもそもシャントット博士は何歳なんだろうか。900 年前にわたくしがこの目で見ましたことよオホホホホ、と言われてもまったく驚かない)
(四国にはバタリア丘陸や聖地ジ・タなどに1 万年前の痕跡が如実に残っているから、「焦土と化した大地」に関してはあの絵画を見た時から気にはなっていた。だが、皇国周辺で「炎に包まれたような場所」がイマイチ思いつかない。ハルブーンはゼオルム火山の影響だろうし・・・。そもそも火山活動が活発な土地に思えるから、当初思っていたように今は海の底なのかもしれない。あるいは、四国に比べて高温多湿な土地に思えるから、鬱蒼と茂る木々によってその痕跡が消えたのか。うーん、イマイチ納得いかないなあ。それっぽい伏線があってもおかしくないから、見落としたのかな・・・)
(天空の大穴はアル・タユにあったモノ、別次元?へと繋がる「扉」と同じものかもしれない。すなわち、巨大な力のぶつかり合いによって生じる時空の歪み。博士が「アストラル風」について気にかけていたが、「扉」にはそのような現象が付きもので、彼女はそこからこの発想に至ったのかもしれない。ハザルム試験場にある冥界への「扉」での出来事も、同じ理由だろう)
トリ「・・・我々は、魔笛に惑わされていたのだな。あの球体こそ、もっとも警戒せねばならぬモノだったのか・・・」
シャ「彼の国の宰相が、ゴルディオスの真の価値に気づかずにいることを祈るばかりですわね」
フォ「・・・」
事態が思った以上に深刻であること、かつ、猶予がなさそうなことに一同が気づいた頃、ようやく冒険者は会議に合流する。
冒険者がここへ呼ばれた理由は明らかであったし、そうとなれば「飼い主」たちに事の次第を伝えない訳にはいかない。アフマウに、丞相に、ルザフに、いったい何が起こったのかを、冒険者は子細に話始めるのだった。
その頃、
皇宮では恐るべき事態が進行しつつあった。
(あれ? このビジョンって「鈴」を経由して丞相たちが見ているものだと思っていたけど・・・)
(視点の位置から考えると・・・ゴルディオス、つまりアレキサンダー目線だったってことかな)
アフマウにかけた催眠術?によってプロテクト突破に成功した丞相たちは、
双人形に秘されたプログラムにより、ゴルディオスの「真の価値」を引き出さんとする。
だが、その時、双人形から声が発せられる。
メネジン「・・・ほっほぉ~。ついに、この日を迎えたのか」
もちろんそれは、一時的に記憶退行状態に陥ったアフマウによるものではなく、
丞相「父上・・・なのか!?」
それは、人形のメモリに残されたメッセージのようだった。このタイミングで再生されるように仕込まれていたのだろう。
メネジン「おめでとう! とりあえず、そう言っておこう。ワルグーム最強の『光の力』を手に入れるんだからね」
アヴゼン「けれど、アレキサンダーの力は諸刃の剣・・・」
丞相「今度は、ジュプリールか!?」
アヴゼン「今なら、まだ間にあう。心あるならば、すぐにプログラムを停止させなさい。貴方が賢明な判断を下さんことを・・・」
丞相「ふっ・・・小賢しい女よ。最後まで小細工をろうしおって・・・」
この時を見越した母の制止を振り切り、丞相は双人形によるゴルディオスの開放を進め、
900 年ものあいだ秘められ続けた真なる力が、
いま、解放される!
丞相「見るがよい!」
丞相「これがアレキサンダーの御意思だ」「私は伝説など恐れぬ。運命とは自らの剣で切り拓くものだ!」
双人形に隠されていたゴルディオス開放プログラム。正しい手順で実行されなかったがためか、それは非力な人形に多大なる過負荷をかけることになり、
メネジンが、
そしてアヴゼンが爆散し、
朦朧としたアフマウの許にその残骸が転がると、
マウ「・・・?」「・・・ア・・・アヴ・・・ゼン?」
マウ「メ、メネジン・・・!?」
その衝撃的な光景がアフマウの意識を覚醒させる。
だが、眼前に突きつけられた辛い現実を前に彼女は成す術がなく、
マウ「い・・・」「いやああああああああっ・・・!!」
絶叫するしかないのだった。
だが、もはやそのような彼女の姿に気を払う者は皇宮のどこにもおらず、悲痛な声はただただ空虚に響き渡るのみであった。
同じ頃、四国軍事会談の趨勢は決まりつつあった。
トリ「宰相の言葉・・・。残念だが、彼の国との戦は避けられぬようだな」
ウォ「同感です・・・」
どちらが主導権を握るか、主戦派の 2 名はさっそくけん制し始める始末だったが、
それでも、なんとか戦争を避けようとする者たちが居た。
ナジ「ま、待ってくれよっ!」「オレ、冒険者の話を聞いてて思ったんだけどさ。そのルザフってやつは、ラグナロクを望んではいないんじゃないかって・・・」
ナジ「そして、アトルガンの聖皇もルザフと同じ考え・・・そうなんだろう?」「ルザフを秘密裏に救出すれば少なくとも、そのラグナロクって現象は防げる」
ナジ「それにアトルガンで、オレやアヤメ 冒険者は見てきたんだ・・・」「あの国で生きる人たちだってオレたちと同じ、血の通った人間だ。戦うのは、手を尽くした後でもいいと思うんだ」
その単純であるが故に純粋な気持ちは、意外な人物の心を動かしていた。
シャ「オーホホホホッ。これは、バストゥークの坊やに一本とられましたわね」「よござんす! わたくし、その作戦に最新鋭のカーディアンを貸与いたしますわ」
(ぜったい裏があるでしょw 悪魔は悪意があるから悪いんじゃない、人を惑わすから悪いんだ、と改めて思った 笑)
次々と賛意を示す三国に、最も好戦的だったバストゥークの代表は渋々ながら観念する。
フォ「・・・仕方あるまい。プレジデントには私から断っておこう」
こうして、ナジ発案によるルザフ救出作戦が実行される運びとなるのだった。
ウォ「これにて一時、閉会といたします」「・・・それでは、作戦成功を祈って!」
そう言って勝利のポーズを取るウォルフガングを、軍事会議メンバはただ静かに見守るのだった。
(ウォルフガングは変わったなあ。随分な熱血漢になったと言うか前向きになったと言うか。プロマシアの一件で吹っ切れた感がすごい。そのポジティブ思考がブラック企業に欲しい 笑)
ウォルフガングは高速飛空艇を準備するようフェリモシエルに伝える云々と言っていたが、フェリモシエルって誰よ(笑)
取りあえずサーチしてみたら、居た。
あージュノ親衛隊の控室に居る彼か。
ルザフ救出作戦改めワジャーム降下作戦の準備は急ピッチで進んでいるらしい。
でも、この後に何度話しかけても作戦は開始されず、どうやら何時ものように日を跨ぐ必要がありそうだった。
だが、果たしてワジャーム樹林に降下してどうするんだろう? 作戦の子細が分からず、と言ってナジに名案があるとも思えず、そもそもルザフが何処に居るかも分からず、なんだか不安な夜を迎えそうに思えた。